狗神 (角川文庫) 『死国』読了後、間をあけず読んだ『狗神』。

その名の通り、土佐に伝わる犬神伝承をもとに書かれた伝奇(ホラー?)小説。犬神憑きとか村社会と聞いて「お?!」と思う人は、楽しめる作品であると思う。

この小説には重要なモチーフとして能の「鵺」が登場する。これが大変興味深い。お能には全く興味がなく、深く知りたいとも思わなかったのだけれど、小説の中で語られる「鵺」の歌詞の意味を知って、俄然興味が湧いた。『死国』を読んでいても思ったが、板東真砂子という人は、ともすると小難しくなってしまう歴史に関する昔話や神話、伝統芸能の知識などを、お話の中にさらっと潜り込ませ、分かりやすいよう噛み砕いて書くのが上手い人だなぁと思う。歴史好き、伝統芸能好きである自分には、そういうところがたまらなく面白い。

しかし、この著者が地元高知を舞台にした話を書くと、やけに血の匂いが濃いような気がするのは何故なんだろう。それがこの人の持ち味なのだろうけど、これだけ血生臭い(≠残酷)話を書く人ってのも珍しいような...それとも女流ホラー作家には、こういう話を書く人が多いのだろうか。あまり数を読んだことがないので分かりませんが、この人の血生臭さは不思議でなりません。

2009/12/24(木) 10:52 坂東眞砂子 permalink
死国 (角川文庫) 『古事記』において伊予之二名島と呼ばれ、伊邪那岐命と伊邪那美命によって淡道之穂之狭別島(淡路島)に次いで、二番目に産み落とされた四国。その四国・高知を舞台にして、生者と死者の世界が交わり出す様を、恐ろしくも日本的情緒を散りばめ、幻想的に描いた作品(訳わかんないな;すいません;)。1999年に映画化もされている。wikiによれば、こういうジャンルはジャパネスクホラーと呼ぶのだとか。

「古代伝承を基に、日本人の土俗的感性を喚起する」と内容紹介にもあったので期待して読んでみたが、若干期待はずれだった。詰まらなかったというわけではなく、むしろ土着的な昔話や神話などを織り交ぜて進んでいくストーリーは歴史好きな人間からしてみれば大変楽しく読めるものだったのだけれど、いまいち登場人物に感情移入できず、最後までのめり込めなかった。

ただ、歴史が古く、お遍路さんや四国八十八箇所などで何となく神聖なイメージの付きまとう四国の濃い魅力が詰まった一冊なのは間違いないように思う。

方言好きさんにもオススメでっせ。土佐弁、いい!

2009/12/24(木) 10:01 坂東眞砂子 permalink