『死国』読了後、間をあけず読んだ『狗神』。その名の通り、土佐に伝わる犬神伝承をもとに書かれた伝奇(ホラー?)小説。犬神憑きとか村社会と聞いて「お?!」と思う人は、楽しめる作品であると思う。
この小説には重要なモチーフとして能の「鵺」が登場する。これが大変興味深い。お能には全く興味がなく、深く知りたいとも思わなかったのだけれど、小説の中で語られる「鵺」の歌詞の意味を知って、俄然興味が湧いた。『死国』を読んでいても思ったが、板東真砂子という人は、ともすると小難しくなってしまう歴史に関する昔話や神話、伝統芸能の知識などを、お話の中にさらっと潜り込ませ、分かりやすいよう噛み砕いて書くのが上手い人だなぁと思う。歴史好き、伝統芸能好きである自分には、そういうところがたまらなく面白い。
しかし、この著者が地元高知を舞台にした話を書くと、やけに血の匂いが濃いような気がするのは何故なんだろう。それがこの人の持ち味なのだろうけど、これだけ血生臭い(≠残酷)話を書く人ってのも珍しいような...それとも女流ホラー作家には、こういう話を書く人が多いのだろうか。あまり数を読んだことがないので分かりませんが、この人の血生臭さは不思議でなりません。


